芸術の日常性へと向かう麻布台ヒルズ

芸術の日常性へと向かう麻布台ヒルズ

麻布台ヒルズが令和5年11月24日にオープンした。

来年にほとんどの施設が完成するが、この大型複合施設コンセプトは”Modern Urban Village”で現代を包み込む都市と田舎の共有・融合といっていいだろう。この麻生台ヒルズの敷地面積の四分の一以上が 緑化のコンセプトに組み入れられている。これは、アメリカ、シアトルにあるアマゾン本社に設置された巨大なドーム型温室”Green”を想起してしまう。麻布台ヒルズの中に入れば商業施設は行きかう人々が購買する機能よりも、有名ブランド店舗のデザイ ンを通して日常の中の芸術性に目を奪われるだろう。商業施設の店舗はビジネスという記号以上に芸術性を帯びてきたわけだ。

 

▲麻布台ヒルズのテープカット式典:「東京の森の子」(奈良美智作)というバニラソフトアイスのような7Mに達する白い巨像と後ろのビルに映った曲線に注目してほしい

 

▲多くのラグジュアリーブランド店が入る地区:二つの高層ビ ルに挟まれたテナントやビル模様は芸術そのものである

 

もう一つの建築コンセプトであるWellnessは健康という言葉どおり、プールが完備さ れた大型ジムや医療面で「慶應義塾大学予防医学センター」(仮称)が設立されるからだ。さらに麻布台ヒルズは中核ビルに森JPタワーという日本で一番高い超高層ビルディングとこのビルに寄り添うようなもう二つの高層ビル(レジデンスA/レジデンス B)ができる。

 

▲ガーデンプラザ手前から見る森JPタワーとレジデンスAの光景

 

東京タワーもすぐに近くで展望できる。麻布台ヒルズからアメリカ、サンフランシスコ近郊のミアウッドの森(メタセコイアの巨木からなる森)を連想する人々もいるに違いない。この点でこの新しい街は空間的にも中央広場に位置するThe Cloudという大 屋根によって有機的につながっている。

 

▲Cloudsは実際、真下から見上げると雲が常にたなびいているダイナミックな流動性を感じてしまう

 

この意味で隈研吾氏がデザインした六本木ヒルズとは際立った対象をなすだろう。なぜなら、六本木ヒルズは、映画館や図書館という学びの場を重視した「都心文化施設」がメイン・コンセプトで自然の要素が含まれないからである。六本木ヒルズが開発構想が始まった1980年代には自然の要素への取り組みはエコシステムという生活環 境を重視した共存型循環型社会のアイデアは存在しなかった。一方、商業・住居空間 としての麻布台ヒルズは、麻布台ヒルズギャラリーや森ビルデジタルアートギャラリーと並立して自然と芸術を取り入れた結果、人々に新しい日常性を色彩豊かに視覚化させ、なにげない生活をより充実させてくれるだろう。

 

(文責 飯田一平)

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