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【Product】彫刻や絵画のように美しい天然木一枚板しつらゑ家具 

高山まさきがプロデュースするMUKU ten.銀座家具の美しさの真髄とは 

神代杉
▲神代杉

                          

一本の木 ・ 一枚の木 をセレクトし、まるで彫刻のように、絵画のように、美しい家具に仕上げる建築家、高山まさき氏。

東京銀座を拠点とする建築事務所、株式会社エトルデザイン代表取締役をつとめ、建築を中心に、家具やインスタレーション、クリエーションを幅広く手掛けている。

この度、高山氏がプロデュースする天然木一枚板の家具ブランド MUKU-ten銀座 がオープンした。(2024年3月)

原始より自然の中で培われた樹木の魅力やエネルギーを、もっと身近な暮らしに取り入れていただきたいという願いを込めた家具ブランド MUKU-ten。

高山まさき氏がプロデュースする天然木一枚板のしつらゑ家具の魅力を、オーダー事例から、天然木の選び方なども踏まえ、紹介する。

対談

高山まさき(MUKU ten.アートプロデューサー兼デザイナー
/株式会社エトルデザイン代表/建築家)

✖️

枝澤佳世(一般社団法人アートのある暮らし協会代表理事)

枝澤:高山さんは、いつから木に興味を持たれたのですか?

高山:私は、東京の下町の深川の木場というところに生まれまして、周りに大工さんや材木問屋が多く、子供の頃そこに入って遊んでいたんですよ。

そうすると、大工さんが鉋(かんな)で削っている木屑の香りであったりとか木の迫力であったりとか、木場に育ったことで小さい頃から身近な素材だったんです。

デザインとか、設計の仕事をしていて、無垢の素材を使うことは、自然で良いのではないかとずっと思っていました。

枝澤:最近、一枚板への需要が高まってますよね。

高山:コロナの最中に、デザインのムーブメントが変わり、インテリアの内容も変わってきたと感じています。

何が変わったかというと、素材。

日本でマンションが誕生して、徐々に、生活空間には素材感が希薄なものが増えてきた。

人工物、ケミカル素材が多くなってきていて、木ではないんだけど木目調になっているとか、〜調になっているということが嫌になってきたんじゃないのかなと思います。 

本物の素材の木のほうが心地いい。と、意識的にではなく、感覚的に求めていると感じています。

コロナ禍で、リモートワーク、家にいる時間が一気に増えた中、ケミカル素材がなんとなく嫌だなと感じている中で、一枚の板というのは、ご飯を食べている時も心地いいし、仕事をやっていてパソコンを置くだけでも心地いいということに気づいてきた。

それが一枚板に関心が集まってきた理由といえばわかりやすいのではないでしょうか?

▲無垢板の魅力を語る高山まさき氏
▲無垢板の魅力を語る高山まさき氏

枝澤:普段の建築のお仕事の中でも、一枚板を入れるケースは増えていますか?

高山:増えていますね。昔は”つき板”っていう板を使っていましたが、もう、イタリアの家具メーカーも”無垢”の板を使ったりしていますし、名門の家具メーカーも、”無垢”の天板を使うことが多くなっています。

枝澤:”無垢”の素材を使うのって難しくないですか? 

高山:考え方なのですが、難しいというのは、“反る(そる)” いうことを心配されてのことでしょうか?

“反る”ことは、商品としてダメなのか?

反っても、それが味でいいじゃないかという人が増えています。

木ですから、呼吸をしているってことを納得してくれるお施主さんが増えていますよ。 

私も、経年変化をすごく大事にしています。
朽ちていくってすごく心地いい。
朽ちていかない方が、不自然に感じる。
難しいというより、自然ってこういうだと理解するというのは、天然を使うメリットだと思います。

子供たちだって、傷つけば削ればいいってことや、夏になると“反る”とか、冬になると“反る”とか実感すると、木って変化するものなんだとわかる。
インテリアとして大変いい素材だと思います。

枝澤:一枚板もアートと同じで、1点もの。運命の木との出会いって、なかなか大変じゃないですか?

高山:そう。
私が、「この木はいい!」って言っても、お施主さんが、嫌っていうこともある。
アートと一緒で、やっぱり相性があります。

でも、木を探しに市場に行くと、私が探しているというより、木に呼ばれるって感じがするんですよ。

枝澤:わかります。本当アートと一緒ですね。そういえば、銀座の老舗のテーラー「壹番館」さんの一枚板のカウンター、見せていただきました。素敵でした。よく出会えましたね、あんな大木に!!

高山:壹番館さんのカウンターは、長さ5m50cm
銀座の街中で、朝方2時から、すごい搬入作業だったんです。
警察に届けを出して、車を止めて、重量1.3トンを軽自動車で引っ張ってみんなで持ち上げた。(笑)

▲搬入風景
▲搬入風景

枝澤:それは、大変でしたね!なぜ、テーラーにあんな大木を入れることになったのですか?

高山:店主の渡辺新さんの考えるコンセプトがきっかけでした。

スーツのメッカはイタリアじゃないですか。

世界から、何を求めて日本に来るのか。わざわざ日本に来て入りたい店ってどんな店なんだろう。と考えたそうです。

それで、やっぱり、寿司屋だろうと。
これだ!「お寿司を握るように仕立てる。」

例えば、寿司屋の檜の天板の上でね、外国人が唸るわけですよね。
うまいマグロがでた、イカがでたとか。

日本の文化から発信できるしつらゑ。というのを新さんがすごく大切にしていらっしゃって。

壹番館でも、日本風の細かい縫製とか裁断の仕方というのをヨーロッパの人にも提案したいと思われたようです。
それで、寿司屋のように洋服を仕立てる空間を作ろうではないか。というところから始まったわけです。

つまり、職人が、仕事をするための専用スペースで、職人が使う道具が並べられ、材料が手の届く範囲に配置され、清潔で整然としており、お客様はカウンターごしに、職人の技を間近で見て楽しむことができるということだと思います。
これが、自分がやりたいことだとおっしゃったんです。それから、新さんと一緒に木を探しにいって、たまたまご縁があってあの木と出会ったということです。

▲壹番館のカウンターでスーツを設る渡辺新さん
▲壹番館のカウンターでスーツを設る渡辺新さん

枝澤:店主の新さん、素敵な方ですね。お店のコンセプト作りに、ユーモアがありますよね!

そして実は、私も、高山さんプロデユースの、建築や家具の美しさに魅せられてオーダーさせていただきました。家はお願いできないですが、家具ならお願いできるかなと思って。

もうまるで、フェラーリですよ。とにかく、かっこいい!

上から見ても、下から見ても、横から見ても、惚れ惚れする。ほんとにかっこいい。

高山:ありがとうございます。

枝澤:素材は、鬼胡桃(おにぐるみ)でした。鬼胡桃とは?

高山:ウォールナット、つまり、日本でいう胡桃(くるみ)。ただ、日本の胡桃(くるみ)は大きくならない。やっぱり北米カナダアメリカイギリスとかは大木が多い。日本の場合は、大きいものが取れないんですよ。
日本とヨーロッパ、アメリカ大陸の木は同じだとしても、育ち方が違うので、人間と一緒で、同じ木でも全然違う。

あの鬼胡桃は、真ん中に強い模様が入っていましたよね。あれは、水が入って腐ったもので、自分の体を治すため、瘡蓋のように色を変えたりするんです。そうやって自分で強くなっていくんですよ。 

なので、この子は、どっかで怪我をして、自分で治して、というのを繰り返していて、切って見たら、すごく魅力的な柄になっていて、私は、それをどう家具に反映したらいいのかってことを考えて作っていく。それが、一本の木から作る家具の魅力なんですよ。

枝澤:いやあ、感動です。涙出そう・・・そう、節の目が実に色っぽいんんですよ。なかなか見かけない表情をしていて大変気に入っています。

また、背板もすごく気に入っています。高山さんに、「背板、横になっててもいいんじゃない?」とご提案いただいて、その場で、完成イメージをスケッチいただいて、即決しました(笑)

▲高山さんが制作前に描かれたベンチ椅子のスケッチ
▲完成イメージのスケッチ

高山:背板を横にすると、ちょっとお茶が飲めたりとか、絵をおいたり、本をおいたりとか、今までの椅子にない概念で楽しめたりしますよね。

枝澤:そうなんですよ〜うち、すごく人が集まるうちなんですけど、大人も子供も、とっても気に入ってくださって褒めてくださいます。

寝っ転がると、本当に気持ちいいみたいですね。

高山:肌触りとかね、オイル仕上げとかが、天然の質感を変えないようにしているのも理由の一つだと思うんですよね。

枝澤:今回、木を選ぶところから制作現場をご一緒させていただき、とっても貴重な体験となりました。本当にありがとうございました。

高山:こちらこそ、完成までご一緒させていただきありがとうございました。
自分で、行脚して見つけると、愛着が違いますよね。

枝澤:そうなんです。それってなかなか経験できないですよね。魅力的でした。他の木との違いなんかも勉強になりましたし。

高山:今の日本で突拍子もない出会いってないですから、そんな出会いを、一枚の板を探すことで経験できるって貴重ですよね。

枝澤:はい、そう思います。あと、今回、立ち合わせていただいて、一番の収穫がありました。高山さんの作品の美しさの謎が解けたことです。

私、一枚板、結構好きで色々見てるんですけど、高山さんがプロデュースされる作品って、何か違う。ずば抜けて美しいんですよね。

なんでこんなにも美しいのか?っていつも思っていて、今回それがよくわかりました。

「どこを削り、どこを残すか」 

その美的感覚が独特。これが、高山プロデユースの魅力、価値だと思うんです。

そして高山さんの木への愛情がすごい!

木と対話されているように制作される現場、木の命を美しく蘇らせる瞬間に立ち合わせていただき、素晴らしい体験をさせていただきました。

おかげさまで、もう、愛おしくて仕方なくて、うちの家宝ですよ。私が、大事にしているので、子供たちも代々大事に使ってくれると思います。

高山:一生に一回と思って作って、息子娘に受け継ぐでもいいし、ひとりがけに改造したいなということもできます。
私としては、生活に合わせて、どうデザインを残し、どう作り直すか?ということができるので、面白い分野だと思っています。

枝澤:再生して受け継いでいく習慣、素敵ですよね。さて、もう一つ、高山さんの代表作品でご紹介させていただきたいのが、この黒柿シリーズ。 

高山:これは、和柿の黒柿という素材なんですけど、魅力的な柄が出ていて、腐っている部分が味になっている。
こういうのを大事にするって日本人ならではの感覚で、そういう意味では、和木をどう扱うかっていうところとかは、天然木を扱う魅力だと思います。

▲花器(黒柿)
▲花器(黒柿)

一本の黒柿から何が作れるかっていうことに挑戦して作り始めて、2022年から皆様に見ていただいています。

▲黒柿シリーズ
▲黒柿シリーズ

枝澤:どこを魅せるのか?どこを削るのかっていうのは、高山さんが指示されているんですか?

高山:そうです。
もう感覚です。デッサンを書いて、こんなのがいいんじゃない?みたいな。
いちばんかっこよくいうと、ミケランジェロじゃないけど、大理石を見るとこの中にビーナスがいると。ただそれを掘り出すだけだという名文句ではないですが・・・
でも、そういう感覚なんですよ。 

やっぱり腐っちゃっているところは、もげたり、割れたりしているんですが、それも、フォルムとして活かす。
購入してくださった方なんかも、穴が空いているのもアートだと楽しんでくださっています。

枝澤:世の中の店舗には、よくない天然木も売っていたりするんですか?

高山:それは、売っている人の問題であって、木にはなんの罪もないと思うんだけど(笑)
樹脂の選び方はあるかな。天然木には、悪いものはないですよ。

枝澤:天然木の選び方のポイントってありますか?

高山:例えば、杉は、すごく柔らかい、心地いい、あったかい。繊維が詰まってないるから加工しやすくて軽い。だから、持ち運びや移動がしやすい家具なんかに向いている。 

黒檀とか、屋久杉とかは、密度が高い、重い。エネルギーがある。強い。
だから、仏壇仏具、建材、工芸品、ゴルフクラブのヘッドなどに広く用いられます。

どっちを選ぶかというのは、私たちに聞いてもらってもいいし、勉強してもらったらわかると思います。

天然木は、良さというより、表情の面白さを楽しみたいところですよね。

木の選び方っていうのは、時代によって違うと思うんです。例えば、みなさんがよくご存知の、伊勢神宮。あそこで使われている木は、無節っていって、節がないんですよ。50〜60年前に加工した木を使って、丁寧に太陽をあてて、すくすく育つように、大事に育てる。そういう意味では、エリート。昔は、節がないのが価値が高いとされていた。しかし、今は、節があることも個性として価値づけるようになりました。

枝澤:高山さんは、神代杉、屋久杉、ウォールナットのなかでも、特に珍しい木を、取り扱っていらっしゃいますよね。どれも、存在感が半端ないですよね。

高山:神代杉(じんだいすぎ)は、神の代わりと書きます。
山形の方にある鳥海山という、噴火で杉が薙ぎ倒されて、約2500年眠ってでてきた木です。ですから失礼を承知で言うと、天皇家よりも前に、灰に埋もれていたので腐らないんですよ。ここ100年か50年かで道路の開発をして、インフラ整備したときに出てきたんですね。

▲掘り出された神代杉
▲掘り出された神代杉

これほんと珍しくて。日本って火山大国なんで、火山が噴火すると森が死んでしまうんですね。それが、2000年前に起きていて、最近になって掘り出されたものをなんとかして使えないか?というのがちょっとムーブメントになっているんです。
だからすごい生命力ですよね。
2500年経ったものをまた磨くと、生き返るというか、甘い色になって心地いい肌触りになるという。

▲一枚板(神代杉)
▲一枚板(神代杉)

これは、屋久杉(やくすぎ)。
杉の根源は一緒なんですが、育ちが違うというか。
南の方だと、塩水が強いということで、なかなかすくすく生きていけないから、うねってるんですね。
うねってるから、捻られて強くなってるんです。

▲一枚板(屋久杉)
▲一枚板(屋久杉)

東北の方で育つのと、南西の方で育つのでは、同じ杉なんだけど、質感や表情がこんなに違ってくるということです。

枝澤:レジン(樹脂)を入れられたものもありましたね。

高山:2000年も灰の下にいると、水分がほぼ0になるんですね。

レジンを入れると強度が増す。

レジンで補ってあげて、テーブルになるとまた蘇らせることができる。

そして、スカスカのところに入れることによって、まるで水墨画のような表情を楽しめる。

壁にかけても面白いですよ。

▲レジン加工
▲レジン加工

枝澤:扉にしても面白いですよね。

高山:可能ですね!


我々は、木がなくては生きていけない。
日本人は木を嫌いっていう人はいないんじゃないですかね。 

自然と共存して生きていく。
これからは自然とシンクロしていくと思いますけどね。
ひしひしとケミカルでない方向でインテリアをコーディネートしたいという方が増えていますしね。 

本質を楽しむ暮らしというのがこれから求められてくると思います。


MUKU ten. 銀座 SHOP

〒104-0041 東京都中央区新富2丁目5−4 1F
営業日:水曜〜土曜 12:00-18:30

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