アートと生きるをつなぐ ARTLIFEマッチングマガジン
アートで創る和リノベーション

「お母さん、私も、自分の部屋が欲しい!!」
「うちのどこにあなたの部屋を作れる場所があると思う?無理でしょ。」

実家は高松市郊外にある敷地面積600坪の古家です。そこで大学生になるまで過ごしました。
私が生まれた昭和40年代は日本において住宅着工戸数が急激に増加しました。
私が過ごした田舎も例外ではなく、今までは私たちの遊び場だった田畑がどんどん造成され、みるみるうちに新しい家が建てられました。
小学生になり、新しく出来た友人達の多くはその新興住宅に住み、その様は私の住む実家とは大きく違っていました。
玄関は洋式のドアノブのついた開き戸、玄関横には見た事もないキラキラの照明のついた応接間。
キッチンの横にはダイニングがあり、ダイニングテーブルとチェア。
我が家には無かった2階への階段を上がると、友人のプライベートルーム。
その殆どの部屋の床はフローリングと壁は真っ白な壁クロス。
全ての部屋が畳&塗り壁であった我が家とのあまりの様子の違いに驚くと共に、たちまち憧れと変わり、家に帰って母に「自分の部屋が欲しい」とせがんだものです。
しかし全ての部屋が襖で隔たれただけの我が家で「自分の部屋を持つ」ことは一人暮らしを始めるまで叶えられることは有りませんでした。
そんな中でも何とか自分のプライベートスペースを確保しようと、しょっちゅう学習机や本棚の位置を変えたり、天井に綺麗な紙を貼って雰囲気を変えてみたり、新聞広告に毎週のように入っていた建売住宅のチラシの間取りで想像の世界に耽っていたことは、後にこの仕事をしようというきっかけにもなり、仕事をする上での基礎となった事に間違いありません。
この仕事を始めた頃は、海外の素敵な素材に夢中でした。
今も素敵な素材に夢中なことには変わりはありませんが、やはり自分が育った環境は私に多大な影響をもたらしているようです。
今は日本古来の美しいものと現代の美しいもの・海外の美しいものを融合させ、新しい美しさを生み出すことに夢中です。
不思議なもので、興味を持ち始めると自然とそのような経験が勝手に向こうからやってきます。
2019年の夏には思いがけず、パナソニック汐留ショールームでのアートスタイリングを監修させていただいたり、古民家を購入したお客様からのご依頼を受けたり、様々な経験をさせていただいており、昔あんなに嫌だった古家での暮らしが今では私の基礎となっていることに、またそこで五感で感じたあらゆる事が私の中に根付いていることを感じるのです。
現在、日本の空き家率は凄まじく、私の住む四国4県はもとより全国でも47都道府県中23もの都道府県で空家率が15%以上(総住宅数に占める空き家の割合)であると言われています。
その殆どが地方で、都市への人口流出、人口の減少、核家族化が主な要因であると言われています。
実際に私の実家も主人の実家も今は空き家です。
私のお客様でもご両親を亡くしている場合、実家は空き家となっているものの、税金を払い、年に数度の手入れをして保有し続けている方が多くいらっしゃいます。
では何故、使わない空き家なのに保有し続けているのか、売りに出したり貸したりしないのか。
私たち家族の場合は、そこにただならぬ思い入れがあるからです。
小さな頃から育ってきた、今は亡き両親や祖父母との思い出の住まい。
そこに住む価値は見いだせないものの、手放す気持ちにはなれないというのが正直なところです。
これは私たちに限ったことではないのではないでしょうか。
実際に売ったり貸したりすることには労力もお金も使いますから、そういった事に起因するところも大きいとは思いますが。
それでは、もしその今は使用していない思い出深い家に、新たな価値を見いだせたとしたらどうでしょうか?
ここから、あなたの思い出深い家に、新たな付加価値を付ける方法についてお話しますね。
1.リフォームとリノベーションの違い
皆さんは「リフォーム」と「リノベーション」の違いはご存じでしょうか。
「リノベーション」はここ数年で急激に日本語に参入してきた言葉ですね。
今ではこの二つはほぼ同じような意味合いとして捉えられていますが、少し定義は違います。
【リフォーム】(reform)は「悪い状態からの改良」
老朽化した建物を新築の状態に戻すこと。壊れていたり、汚れていたり、老朽化したりしている部分を直したり、きれいにしたり、新しくしたりすることを指す。外装の塗り直しや、キッチンの設備の変更、壁紙の張り替えなど。要するに「マイナスの状態のものをゼロの状態に戻すための機能の回復」の事を言います。
【リノベーション】(renovation)「革新・刷新・修復」
既存の建物に大規模な工事を行うことで、住まいの性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりすること。間取りの変更など、生活スタイルに合わせて自由に設計できる。付け加えると 「機能回復だけでなくプラスαで新たな機能や価値を向上させること」となります。
日本古来の家を復活させ、リノベーションをしてあなただけの新たな価値を見出す、考えただけでもワクワクしませんか。欧米では古い家ほど価値がある場合が有ります。日本は先に述べた高度経済成長期以降、新しい物至上主義が横行し、日本本来の美しいものや文化がどんどん失われていきました。和室生活スタイルはそのひとつであると言われています。
2.和室が消えた背景
和室が消えていった背景には、
① ライフスタイルの欧米化(椅子やソファー、ベッドを使用する家庭が増え、畳の上に座る・座卓で食べる・布団を敷いて寝るという動作が減った。)
② 部屋数の少ない間取りの増加(核家族化が進み、一世帯辺りの家族構成人数の減少。部屋数が必要なくなったため、大勢で布団を敷き並べて寝るスタイルの和室が必要なくなった。寝泊りをともなう来客の減少。)
③ 洋室より施工コストがかかる(和室が一つで別部屋は洋室という場合、別施工になるためコストがかかる。また和室は相対的に材料コストが洋室に比べ高い。)
④ 自分好みのインテリアを選択しにくい(和室を構成するインテリアアイテムが少なく、自分好みのインテリアに仕上にくい。)
と一般的には言われています。
私は日々仕事をしていて、④が最も大きな要因ではないかと、感じています。また敢えて⑤を付け加えるならば、先にも述べたように
⑤ 和に価値を見いだせていない。(何となく洋風の方がかっこいいと感じてしまっている。)
のではないかと思います。
日本人は元来マジメですので、決められたルールに従って創りあげることが好きですし、それを守っているうちに正解を一つに決めてしまいがちです。
しかし、インテリアにルールはあっても、正解はありません。いや正解がないというよりも、正解は無限にあるのです。個人個人考え方が違うように、インテリアにもそれぞれの個性を出せば良いし、和の部屋だからと洋のものを飾ってはいけないというルールは有りませんし、逆も然り、自由に楽しめば良いのです。
3.生まれ育った実家から生まれたヒント 〜パナソニックのアートスタイリング〜
先述のように私は、2019年の夏にパナソニック汐留ショールームで、アートスタイリングを監修しました。条件が2点ありましたが、あとは自由にやって良いという事でした。条件は、
① アンティークのマイセン食器を展示する
② アーティスト二人(書道家と華道家)とのコラボレーション
マイセンと言えば言わずと知れたあのお花柄が特徴的な洋食器です。その食器は総額ウン百万円の凄いものでしたが、普通に飾ったのでは、きっとその価値は伝わりません。見に来られた方々の印象に残るものをと考えた結果、敢えて和のしつらえでいこうと決めました。そこで重要なヒントになったのが、私が生まれ育った実家の風景でした。




4.和室を残す10の知恵
●マイセンの食器を襖で仕切った向こう側の空間にしつらえが出来るように棚を作りました。
●襖もアート作品として書道家の方にアートを施していただきました。
●違う壁面には格子を使って床の間風の空間を作り、そこに書道家と華道家のコラボ作品を飾っていただきました。
●食器を飾るスペースとしてはやはりテーブルが必要です。畳の上に敢えてダイニングテーブル&チェアを設置し、
●その上部には吊るしたゴージャスなシャンデリアは、和と洋をつなぐ役目としました。
●アートを飾る為の空間は、そのアートの価値だけでなく、空間の価値を何倍にも高めてくれます。お気に入りのアートを飾るために空間を作るのです。
5.アートで創る古民家リノベーション事例
古民家をリノベーションし素敵に暮らしている友人宅の事例もご紹介します。
友人宅は、蔵付きの大きな大きな古民家。そこを買い取り、何年もかけてリノベーションをしながら暮らしています。そのリノベーションのお手伝いを時折させていただいています。
その古民家は空き家にはなっていましたが、家を壊さず、遺しながら暮らしてくれることが譲ってもらう時の条件だったということです。
LDKはご自分たちで大工さんと相談しながらつくったものの、座敷の使用方法について、相談を受けました。何とか座敷を素敵にして日常使いをしたいと。
そこで先の展示ブースと同じく、襖をアートと見立て、友人とあれこれ襖紙を選び、将来、その部屋に設置するであろう家具を想像しながら襖を貼り替えました。


そしてこの後、またまたアートを飾る為の空間を作ることになるのです。

このアートを愛でながら、座敷を日常使いできる日はそう遠くはなさそうです。
和の中に洋を取り入れたこんな素敵な事例もあります。

まるでそこに窓があり、窓の外の世界をみているような錯覚に陥り、床の間に新たな価値を見出せる事例です。

アートの力、感じていただけましたか?
6.届けたい!アートで創る和のリノベーションを届ける思い。
アートの日常使い、そしてアートを飾ることで得る家への愛着、アートを飾るために空間を作ることの楽しさ、そして私が声を大にして唱えたいのは、私たちの神髄である和の文化を再び生活に取り入れ、日本文化を、日本を、ひいては世界を、地球を守っていくということ。
かつて日本は床の間を大切にし、床の間には大切なアート(掛け軸)や季節の花々を当たり前に飾って生活をしていました。しかし和室文化を捨ててしまったことで、床の間文化もいま無くなってしまおうとしています。日本の元来の考えは、今のように古いものを捨てて新しいものをどんどん取り入れることではなく、古いものを愛でながら、新しものを少しづつ加えていくことではなかったかと思います。いま我々がしてしまっていることは、先に述べた地球を守っていくことに相反しているのです。
いま、しきりに話題にあがってくるSDGs。その17のゴールのうち、少なくとも5つは私たち一般人が出来ることであり、ひとりひとりが取り組まなければいけない問題です。
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
賢いあなたならもうお判りでしょう。
これら5つのゴールは、ひとりひとりが守り、気長に続けていかなければ解決しない問題です。
そしてどんどん新しいことを取り入れてしまっている日本の暮らしは、このゴールをどんどん遠ざけているのです。
古いものを愛で、再生を繰り返しながら、長く続けられるエコな和の暮らし。
今まで何となくダサいと思っていた和の空間をたちまち素敵空間に変えてくれるアートの力。
お気に入りのアートを愛でながら、自分だけの空間を楽しめるアートのある暮らし。
私たち一人一人の意識で、また今まで見なかったことへ少し目を向けることで守られる確かな未来。
アートで作る和リノベーションは、美しい地球を守る企画としてご提案しています。
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この記事を担当したアートライフスタイリスト

吉岡恭子のプロフィール
INTERIOR DESIGN PUPILLA アートライフスタイリストマスター
1973年 江戸時代末期に建てられた現高松市国分寺町にある旧家に四人姉妹の三女として生まれる。
1995年 両親の勧めで通った国立大学教育学部を卒業するも、教師になる事には違和感を覚え、
運送会社の社長秘書として就職。その後、転職し、学校事務・営業事務等を経験。
2004年 2003年に結婚し、娘を出産後、専業主婦となる。
2008年 娘の成長と共に「人生の豊かさ」について考え始め、好きな事を仕事にしたいと
一念発起し、インテリアコーディネーター資格を取得。
2009年 インテリアデザイン事務所に就職。
2014年 フリーランスとして独立し、現屋号で活動し始める。
2016年 アートライフスタイリストマスターの資格取得
2017年 二級建築士資格取得

一般社団法人アートのある暮らし協会
「誰もがアートを身近に楽しめる豊かなニッポンへ」という理念を掲げ、 日本全国のアートのある暮らし普及へ向けて活動をしています。
アートの力で、1ランクアップのライフスタイルを手にするための情報、知識、スキル、人脈、環境などを一気に身に着けることのできるカリキュラムやサービスを提供しています。
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