国際アートフェアTokyo Gendai レポ 〜現代アートを楽しもう!〜
今回初開催の世界⽔準の国際アートフェア、Tokyo Gendai。7⽉7⽇から3⽇間、パシフィコ横浜で開催。
7 ⽉6⽇のプレ・オープンでは、国内外から駆けつけたArt Lover、コレクター、VIP、プレス関係者で賑わい展⽰場はあっと⾔う間に⼤混雑。会場内は、「どんな作品がきているのだろう」という好奇⼼であふれ、熱⼼に⾒て回る⼈々、アーティストやギャラリストとの会話を楽しむ⼈々、早速商談をしている⼈々など、アートフェアならではの⾼揚感に包まれていました。
73の参加Galleryのうち6割が海外からという、国際⾊の強い今回のフェア。⾹港、上海、ソウル、バンコク、シンガポール、インドネシアなどのアジア圏、パリ、ロンドン、バルセロナ、ミラノ、ニューヨーク、サンモリッツ、サンタモニカ、などの欧⽶圏からと、まさに世界中のギャラリーが参加しています。
⽇本にいながら、今動いている世界のアートマーケットの⼀端にふれることができる貴重な機会です。
Tokyo Gendai のアートのパワーあふれるフェアの模様を一部お伝えします。
多彩なラインナップで現代アートシーンを包括
会場は、4つのセクションにわかれていて、それぞれ、どんな内容のセクションかイメージしやすいように、ネーミングがされていました。
【Galleries】
国内外の著名Galleryの代表作家による、クオリティの⾼い展⽰
【Hana ʻFlowerʼ】
新⼈または中堅のアーティストの作品
【Eda ʻBranchʼ】
著名または歴史的に重要なアーティスト、もしくはテーマに基づいて構成された展⽰
【Tane】
デジタルメディアを中⼼とした新しいメディア作品
現代アート、という括りのなかでも、表現⽅法は多彩で、コンセプチュアルなものから、抽象と具象の狭間にある作品、社会的メッセージのあるものなど⼀同に会しているので、ここを⾒ておけば、今のアートシーンをつかめる構成が魅⼒です。
今回は、4つのセクションのうち、”Galleries セクション”を取り上げ、一部ご紹介します。
現代アートの魅力を少しでも身近にお届けできたら嬉しいです。
▲会場⼊り⼝ ⼤平⿓⼀ 《CHERRY SPEAKER》七⼣のモチーフもしのばせてあるそう。
どこにあるのかな? と探してみるのも楽しい。
▲Blum&Poe Blumさん 後ろに⾒えているのは、岡崎乾⼆郎氏の作品
「このフェアでは素晴らしい作品を揃えた。スーパーハイオクリティ。楽しんでください!」
▲陶芸の作品は、 浜名⼀憲さん
⼀過性のものではなく時代を超えて在り続ける「もの」を追求している浜名氏。
アメリカ留学、スニーカー販売、レストラン経営、漁師、アンチョビ作り、農業と異⾊の経歴を持ち、アートマーケットや観客に媚びることなく、⾃然と⽣活を⼀体化させた半⾃給⾃⾜の⽣活と、ものづくりとが分かち難く結びついたサイクルを確⽴している大変魅力的なアーティストです。
▲Mizuma Art Gallery アーティスト ⻘⼭悟さん
作品は、《N⽒の吸い殻》「町⼯場がパンデミックを経て破産した。その⼯場のドアの前に落ちていた吸い殻を拾って刺繍の作品にした。誰かの⼈⽣に不幸におこったことを、当事者でない⾃分が作品にしていいのか。そんな罪悪感を感じる⼀⽅、社会のなかで消えていく誰かの⾜跡を残すことの意味についても感じているんです」オーガンジーに刺繍を施し、作品化。光を当てると、吸い殻を拾った⽇付が浮かびあがる。
▲Ingley Gallery (エジンバラ)
スコットランドを代表する作家を紹介↓
▲Kate Paterson 《The Moment》
▲Jonathan Owen 《Untitled》
▲Josh Lilley(NY)
Lee Abe 韓国⽣まれ、“炭のアーティスト”として知られる
現在はパリとソウルに拠点をもつ。NYでは、炭を使った⼤型のパブリックアートも発表
▲Jack Shainman Gallery (NY)
Toyin Ojih Odutola ナイジェリア系アメリカ⼈ 《Homeroom Transfer》
物語性のある⼈物画、動きのある画⾯構成、深い⾊合い、とても印象的。
▲SCAI THE BATHHOUS 和⽥礼治郎氏のフルーツを使ったインスタレーション《STILL LIFE》
▲Taka Ishii Gallery
Jade Fadojutini , Lonor antunes , ⼭⽥康平
▲MAHO KUBOTA GALLERY 武⽥鉄平
厚塗りのドローイングのようですが、近づいて見ると驚くほど緻密に細筆で描かれています。
とても現代性を感じる作品。
▲MAKI GALLERY ⽥村琢郎
▲Mizuma Art Gallery 会⽥誠
あの、使い捨て弁当箱容器、発泡ウレタン、アクリルガッシュを使った「ランチボックス・ペインティング」シリーズ。使い捨て容器である発泡ウレタンのポコっとした形状に、見た目重視で絵画的に盛り付けをしている。ふざけているようで真剣な社会へのメッセージが伝わる。
現代アート初⼼者には、
“世界のアートマーケットをウィンドウショッピングしながら お気に⼊りをみつける”
そんな楽しみ⽅から始めるのはいかがでしょうか。
コレクターからアート初⼼者まで、アートとの出会いを楽しむことができるアート・フェアは、まさしく「アートのプラットフォーム」。 ⽇本のアートマーケットと世界のアートマーケットが出会い、交流し、活況を呈しているのを⾒て、とてもわくわくしました。
アートという共通⾔語で共感しあい、⽂化の違いや社会課題をアートを通して理解しあうことは、ニュースで⾒聞きするより⼼に残ります。現代アートは現在進⾏系。
今後、Tokyo Gendai が⽇本を代表する国際アートフェアとなり、⽇本にいながら世界のアートと触れることができるのがとても楽しみです。
◆この記事を書いた人◆
小山 嶺子 (こやま みねこ)/フードクリエイター・アーティスト アートライフスタイリスト・マスター
1989年静岡県沼津市生まれ。武蔵野大学住環境専攻に進学し、住宅・インテリア設計や本づくりを学ぶ。その後、レコールバンタン・カフェ&バリスタ専攻に進学し、カフェ業界に特化した食のスキルを習得。卒業後はD&DEPARTMENT DINING TOKYOでバリスタとして従事後、神奈川県の個人経営ダイニングにて店舗責任者兼シェフとして勤める。この店舗では、料理、ドリンクのメニュー開発から担当。その経験が基盤となって2015年、地元である静岡に拠点を移し「映画から連想する料理のcinemanma!(シネマンマ)」というプロジェクトを始める。2018年からフリーランスのフードアーティストとして活動を開始し、“心の栄養”をテーマにした食体験を提供している。
2023年07月08日掲載
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