【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー!

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー!

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー!

アーティストって気難しい人が多そう、なんて思っていませんか?
今回お話を聞いたのは、美しい青色の蝶を描く日本画家の大竹寛子さん。お会いするとつい釘付けになってしまうほどの美人さんですが、とても気さくでワインが大好きな女性なんです。人としての魅力もさることながら、その作品の魅力も、すごい。いま注目されている新進気鋭の日本画家です。
先日訪れたアートフェア東京で、一緒にいた友人が一目ぼれし、生まれて初めてアートを購入したのが、大竹さんの青い蝶の絵でした。

それでは、そんな魅力的なアーティスト・大竹寛子さんにインタビューです!
日本画との出逢いのことや、創作への想いなど・・・ざっくばらんに伺いました。

大竹さんが絵を描き始めたのはいつごろですか?

小さい頃から絵を描くのが好きな子供でした。小学校の時はシャガールが好きで模写をしたりしていましたよ!
中学生の頃にはモダンアートが好きになって、ウォーホル(※1)等を知ったのもその頃だったと思います。
現代音楽も好きで、ジョン・ケージ(※2)をよく聞いていました。

 

-中学生の頃に、ウォーホルやジョン・ケージですか!やはり、一味違いますね。そんな中で、日本画を選んだのはなぜですか?

そうした海外の芸術の流れに興味をもって見ていて、その中でミニマリズム(※3)への移行などを見ていたら、思ったんです。
「あ、日本画はもうすでにやっているな」と。

日本画は、構図の捉え方や墨の感じも、すごくモダンですし。
伊藤若冲(※4)を知ったのも中学生のときでしたが、構図がすごくかっこいいと思って。
色々な芸術を一通り見てみた中で、「日本画が一番かっこいいじゃないかな」と思って始めました。
それで高校は美術科に入り、高校一年生のときに日本画を始めました。

 

-それからずっと日本画を描き続けていらっしゃるわけですよね。日本画のどんなところが好きですか?

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー! 岩絵の具の美しい青。

まずは、色ですね。特に日本画のブルーは独特。私の作品でもよく青を使いますが、鉱物の青が特別にきれいだと感じています。

そして、質感もすごく好き。均一的ではなく、銀や金箔、岩絵の具など、それぞれに独特の質感があるところが面白いです。
だから作品はぜひ間近でみてほしいですね!質感の面白さは、写真ではなかなか伝わらないですから。

 

-たしかに大竹さんの作品も、角度や光によって全く違う表情に変わったりして面白いですよね。遠目から見るのも好きですが、つい近くに寄ってみたくなります。

そうなんです。日本画はいろんな表情がみられます。

それから、日本画が自分に合っているな、と感じるのは「じわじわ感」です。油絵などと日本画が大きく違うところは、描くまでの作業が多いということ。油絵の具はチューブからすぐに色を出して描き始めることができますが、日本画の絵の具は、岩絵の具に膠(※5)を溶いて、混ぜて・・・と作業が多く、面倒なんですよ。即興性が低い、と言うのでしょうか。
でも、そうして準備をしながら気持ちを落ち着かせて、やりたいことに到達する、という「じわじわ感」が、私には合っているみたいです。

 

本当に、日本画を愛していらっしゃいますね!
 ところで、大竹さんが描く蝶の作品が印象的ですが、蝶をモチーフに描くのはなぜですか?

蝶を描きはじめたのは、7年くらい前です。その前は花などを描くことが多かったんです。

きっかけは、蝶の成長過程における「完全変態」の話を聞いたことでした。蝶って、幼虫からさなぎになり、さなぎから蝶に孵化しますよね。その成長中にさなぎになったとき、一度完全に液体に変わるんだそうです。すごいですよね。成長過程で、完全に形を変えるんです。


-そうなんですか!完全変態・・・初めて知りました。すごい。

興味深いですよね。

それで、人間にも「成長してよりよくなりたい」という変態願望のようなものがあるじゃないですか。
そうしたものと、蝶が自分の中でリンクして、それから描くようになりました。

古代ギリシャ語に、蝶を意味する「Psyche-プシュケ-」という言葉があります。
同時にプシュケは、息、呼吸も意味し、転じて生きること、また心や魂を意味するようになったと言われています。
そこから私は、蝶を魂の象徴であり、死霊の化身として、または美しく揺らぎあるものの象徴として、精神の成長としてなど様々な意味を含んだ記号として扱っています。

 

-なるほど。そういわれると、蝶にはとても神秘的なイメージがあります。
   その蝶の作品が、茂木健一郎さんの著書の装丁にもなったのですよね?

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー! 茂木健一郎さんの著書『今、ここからすべての場所へ』の表紙の絵は、大竹さんの作品。

 

表紙に起用していただいた作品は、螺旋状に蝶の一生を描く事で、遺伝子のサイクルであるDNAに見立て、輪廻転生の様に生命が繋がっていくイメージを表現しています。
一生は儚いけれど、つながっていく永遠性もある、というイメージを描きたかったんです。

蝶の作品の中でも、青で描く作品には、「プシュケ」というタイトルをつけています。震災の後のTWS(トーキョーワンダーサイト)で、売上を寄付するオークションに出したときに初めて描いて、その後継続して作り続けているシリーズです。

 

「プシュケ」のシリーズ、とても好きです!蝶の作品に限らずですが、大竹さんが描く作品に共通するテーマなどはあるのですか?

私がモチーフとして扱う蝶や花に重ねるイメージは、止まる事のない時間の流れや、不確かさ、絶えず新しい情報に更新されていく中にある変わらないものの存在です。
蝶は、その動きを見ていると、常に残像を見ているような、一瞬先はあってないような独特の浮遊感があります。そういううつろいを感じさせる絵を描きたくて。
だから、花であればただ綺麗に咲く花よりも、枯れゆく儚さを描きます。いつか朽ち果てるという衰えを感じさせる絵を描いています。

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー! 制作中の大竹さん。(このときは、今年4月にリニューアルオープンした恵比寿のローストビーフ店『Lawry’s The Prime Rib』店内に展示する作品を制作中でした)

コピー ~ DSC_0442

 

-儚さやうつろいに価値を感じるというのは、日本的な感覚ですね。
  話は変わりますが、大竹さんの作品を買われる方は、どんな方が多いですか?

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー!

年齢も性別も国籍も、いろいろな方がいらっしゃいます。
その中で実は、3月のアートフェア東京でとても嬉しいエピソードがあったんです。
以前に私の作品を買って下さった方の息子様が来てくださったのですが、その息子さんはご結婚されたばかりだそうで。親御さんからの息子さんへの結婚祝いが、「大竹寛子の個展で気に入った作品を何でも買ってあげる」というものだったんです。


-すごい!大竹さん作品の魅力を親子で共有するというのも、とても素敵ですね。

私の作品を気に入ってくださって、とても大切な記念の贈り物として選んでくださったことが、すごく嬉しかったです。それに絵をプレゼントするのって、それぞれの好みの問題があるのでなかなか難しいですが、「個展の作品をどれでも買っていいよ」っていうのはすごく素敵ですよね。

 
-そんな素敵なプレゼント、私もされてみたいし、してみたいです!
 ところで大竹さん、今後はどのような活動を予定されていますか?

今年3月末、長い間お世話になった東京藝大を出て独立しました。今年は日本国内でいつくか展示を控えていますが、来年は海外での制作、展示をしていければと考えています。

海外で、日本画の魅力をアピールしてきたいと思っています。


-来年は大きな転機になりそうですね。ご活躍、期待しています!

 

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日本画と聞くとなんだか堅いイメージがあったり、あまり馴染みのない分野に感じる方もいらっしゃると思います。しかし、大竹さんの描く日本画は、和にも洋にもしっくりくる、とてもモダンな日本画。
実際に、レストランやお茶室での展示もとても好評です。

 

現在、日本では純粋に日本画を描くアーティストは減少傾向にあり、画材も手に入りにくくなってきていると言われていて、稀少な存在になりつつあります。

日本が誇る、素晴らしい技術で描かれる繊細で美しい日本画。
ぜひその魅力を、作品に直に向き合って堪能してみてください!

欲をいえば、いつもの暮らしの中で日本画を飾り、日本画とともに生活する。とても素敵なことだと思います。

それが大竹さんの作品であれば、美しく魅力的なアーティストとともに暮らしているような感覚が味わえるかもしれません。
魅力的なアーティストが創った作品は、心を豊かにしてくれます。

新進気鋭のアーティスト・大竹寛子さん。今後も注目です!!


HIROKO OTAKE PORTFOLIO 
 http://www.hiroko-otake.com/

 

 

注釈)
※1 アンディ・ウォーホル=アメリカの画家・版画家・芸術家でポップアートの旗手。ロックバンドのプロデュースや映画制作なども手掛けたマルチ・アーティスト。

※2 ジョン・ケージ=アメリカ合衆国出身の音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家。代表的な作品に『4分33秒』がある。

※3 ミニマリズム=美術・建築・音楽などの分野で、形態や色彩を最小限度まで突き詰めようとした一連の態度。

※4 伊藤若冲=江戸時代の画家。美しい色彩と綿密な描写が特徴

※5 膠=にかわ。ゼラチン質の伝統的な接着剤。

【日本画の魅力とは?】「儚さの中にある無限性を描きたい」美人日本画家・大竹寛子さんにインタビュー!

大竹 寛子さん

〔プロフィール〕

1980年 岐阜県生まれ
2006年 東京藝術大学絵画科日本画専攻 卒業 卒業制作 帝京大学買い上げ
2008年 東京藝術大学大学院美術研究科日本画専攻 修了
2010年 第19期佐藤国際文化育英財団奨学生(佐藤美術館)
2011年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程 日本画研究領域 修了
美術研究博士号取得
2011-2014年 東京藝術大学絵画科日本画 教育研究助手
2014年 東京藝術大学 エメラルド賞 受賞
現在 日本画家として活動中


[主な個展]
2014年 「Hiroko Otake Solo Exhibition」Art Fair Tokyo 2014  東京国際フォーラム ART GALLERY 水無月
2013年 「大竹 寛子 個展 ~今ここにはない瞬間~」ART GALLERY 水無月・岐阜県
2012年 「始まりと終わりの同一性」アルスギャラリー10周年記念展 ars gallery 東京
Art Fair Tokyo 2012 東京国際フォーラム ART GALLERY 水無月
2011年 「大竹 寛子 個展 ~記憶と残像~」ART GALLERY 水無月・岐阜県
2010年 「新人選抜L’ESPOIR2010 大竹寛子 個展」スルガ台画廊 東京都・銀座
「蝶の絵画展 大竹 寛子」 那覇市ぶんかテンブス館ギャラリー 沖縄県
2008年 「大竹 寛子 展」北ビワコホテル・グラツィエ、ギャラリー 滋賀県 


[主なグループ展]
2014年
「Art Factory’s 粋 -八色のアートスタイル―」東急本店 
「rose rose rose 展」全国の高島屋を巡回中 東邦アート

2013年
MEGUMI OGITA GALLERY GALLERY ARTIST GROUP SHOW
「Zig Zag –Harmonica books-」ドイツ・シュツットガルト
「nine colors Ⅶ」西武渋谷店 B館 8階 美術画廊・オルタナティブスペース 
「ART NAGOYA 2013」ウェスティンナゴヤキャッスル
「New City Art Fair Taipei」台北
「Art Factory’s 粋 -月見の茶会―」 横浜 茶室「SHUHALLY」
「縁」現代茶の湯スタイル  西武渋谷 美術画廊
「ART 茶会」利休にたずねよ 公式タイアップ Park Hotel Tokyo

2012年
Art Fair Tokyo 2012 東京国際フォーラム 
「Hiroko Otake & Paola Masi “AFFINITIES”」Megumi Ogita Gallery 東京

2011年
東日本大震災復興支援チャリティ展「Art for Tomorrow」
トーキョーワンダーサイト渋谷

2010年
「韓・日 現代女性作家展」日本韓国文化院・東京、韓国日本文化院・韓国

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