「人間になるための内転、外転」(児玉画廊 | 東京)

先日、京都研修のギャラリーツアーにてお世話になりました、
児玉画廊 | 東京 にて、今週末より展覧会が始まります。

ぜひ足をお運びください!

「人間になるための内転、外転」(児玉画廊 | 東京)

「人間になるための内転、外転」(児玉画廊 | 東京)

 

レセプション: 11月15日(土) 18時より
(白金アートコンプレックス合同開催)
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For immediate release

ご案内

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。

 児玉画廊|東京では11月15日(土)より 12月20日(土)まで、モデルルームの企画、キュレーションによる展覧会「人間になるための内転、外転」を下記の通り開催する運びとなりました。モデルルームは若手アーティストを紹介するアートスペースとして2013年8月に東京都青梅市にオープン、元々事務所と喫茶店が入居するビルに民家が建て増しされたというユニークな建造物をリノベートし、迷路のように入り組んだ6つの展示空間を活かした個性的な企画展を開催しています。
スペース・企画の独自性に加え、コマーシャルギャラリーや美術館、既存のオルタナティブスペース等とも異なる視点で若いアーティストと共に未開地へ切り進もうとする先取的な姿勢には、児玉画廊の理念と通ずる点もあり、今回の展覧会共催となりました。普段は青梅市という都心から離れたロケーションから砲撃手のようにアートシーンの中核へ向けて個性溢れる企画展を放っているモデルルームですが、今回はシーンの内側に砲台を据えて、その衝撃を間近に見せてくれる事でしょう。以下はモデルルーム・ディレクター秋葉大介による本展覧会に関するステートメントとなります。

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 おそらく多くの企画者と同様に、私もある一つの問題を抱えて展覧会を企画しています。それは、それぞれ多様な個性を持った作家と、展覧会という枠組みに求められるある種の統一感、この相反する二つをいかに接続させるか、という問題です。
 誤解を恐れずに言い切れば、一般的にグループ展は、企画者が提示した思想に従って作品や作家を記号的に配置している。きれいに統制された作品群と作家達。それは鑑賞の補助線として親切な反面、作品や作家またはその解釈をある一側面で拘束する危険なことではないかと、作家にとっても鑑賞者にとっても良くない関係でないかと思うのです。そんなことをせずとも、作品はおのれですべてを語っている。だから作品も作家も拘束せずそれぞれで自律させながら、いかに展覧会としての枠組みを成立させるかということを私は考え、実践しています。
 今回参加する4人、秋山由希、糸川ゆりえ、宇吹新、片桐佐知子は、私の知りうる今最も刺激的な若手作家で、メディアもコンセプトもそれぞれ全く異なります。
そしてタイトルにある、内転とは生体が刺激から遠ざかって、おのれの中心の方へと引きこもること、逆に外転とは生体が刺激の方へ向かい、世界によって引き寄せられることを意味します。(※1)
 本展では展覧会場に、作品とは別に設ける「ある仕掛け」によってこの内転、外転を促すような試みを行います。自己
を認識しながら、自己の外部にある作品を見つめる。あるいは世界の内に存在している自己を外部から見つめながら、作品を内省する。この作用によって、荒々しく乱立した4人の作品を強引に一つに縛り上げるのではなく、作品と鑑賞者、または作品と作品を緩やかに繋げて、展覧会の別のあり方を提示できればと思います。
 「ある仕掛け」は、展覧会場でのお楽しみということで。
ぜひご覧ください。
(※1: メルロ=ポンティ「知覚の現象学」より)

モデルルーム 秋葉大介

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 本状をご覧の上展覧会をご高覧賜りますよう、何卒宜しくお
願い申し上げます。

敬具
2014年11月
児玉画廊 小林 健

作家紹介:

秋山由希
実写やカットアウトアニメーション、グラフィックなどを組み合わせ、鮮やかな色彩とダイナミックで動的な画面構成による複眼的な映像作品を制作している。主に言語や文化、身体接触、物理的距離のような人と人の間に介在するそれら事象にフォーカスし、鑑賞者に現代社会の人間関係についての再考を促す。

糸川ゆりえ
一貫して絵画を制作している。具象と抽象の狭間を漂うようなモチーフと透明感のある絵具によって画面全体を覆う皮膜のような質感が特徴的である。作品制作の前段階に、言葉で画面を組み立てる「言葉のスケッチ」なるプロセスを経て画面を構成しており、非現実の内に存在するリアリティを求めている。

宇吹新
自作の3Dプリンタによって出力したパーツなどを組み立てた機械仕掛けの作品を制作している。近作の、カセットテープレコーダーの再生、巻戻し、録音ボタンをランダムに操作しDJのように演奏する装置「テープ君のラジオ活動」やロボット型の人形をモーターにより強制的に動かす「ノーヒューマン」は、一見コミカルで笑いを誘うが、執拗な繰り返しのうちに「労働(チェコ語でrobota)」のような不毛さ、虚しさを見せる。

片桐佐知子
インスタレーション、映像、パフォーマンスなどメディアを問わず、血液、汗、骨など身体を直接的に扱った作品を発表している。作家自身と動物の血液が混入したピンク色の人工雪が空間中を舞い、床には血だまりが広がるインスタレーション「ゆち~blood snow~」や、豚の皮膚に血液でタトゥを彫るパフォーマンス「刺血」など、片桐の作品は、まさに「身体」のように美しくもグロテスクで、儚いようで重厚な、捉えどころのないアンビバレントさを提示している。

記:

展覧会名:人間になるための内転、外転
作家名:秋山由希 / 糸川ゆりえ / 宇吹新 / 片桐佐知子
会期:11月15日(土)より12月20日(土)まで
営業時間:11時‐19時 日・月・祝休廊
オープニング:11月15日(土) 18時より

お問い合わせは下記まで

児玉画廊 | 東京
〒108-0072 東京都港区白金3-1-15
T: 03-5449-1559 F: 03-5421-7002
e-mail: info@KodamaGallery.com
URL: www.KodamaGallery.com

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